文化記録映画「春画と日本人」

Shunga and the Japanese

1 x 87’

2015年秋、日本で初めての春画展が永青文庫で開催された。その実現までの道のり、そして日本社会が春画を忌避してきた歴史を、実行委員会、春画や浮世絵の研究者など関係者の証言で綴る。この映画は、出版の自由、展覧会の自由、売買の自由、研究の自由、この4つの自由を守るために不断の努力をされた方々の物語である。

内容

2013年に大英博物館で開催された展覧会「Shunga: Sex and pleasure in Japanese art」の大成功を受けて春画展実行委員会が結成された。実行委員たちは、日本での巡回展の開催を目指し20を超える美術館と交渉したが、春画の芸術としての素晴らしさは認められながらも、理由にならない理由で次々と断られていった。最終的には、細川護熙氏が「すでに無修正での出版は可能になっているのに、なぜ展覧会は駄目なのか?」と受け止め、「義侠心」(記者会見での言葉)から永青文庫での開催を決断。しかし、展覧会が始まると入場者数20万人を超える大盛況となり、美術展史上に残る成果と評価された。

映画の中では、春画制作が佳境を迎え、武家も庶民も春画を楽しんだ江戸時代中期に、幕府による規制が始まったこと、その影響。明治維新以降の近代化の動きの中で春画が禁止、廃棄されたこと。終戦後、学問の自由が復活したにも関わらず春画研究が停滞したことなどを、浮世絵や日本美術史、文化資源学の研究者たちが実体験を交えて赤裸々に語る。1991年に無修正の春画出版物が初めて実現した。その知られざる経緯について出版に関わった人たちが証言。また、春画の名品の流転秘話など、多様なエピソードが描かれるほか、江戸の職人たちが春画制作にどのように腕を振るったのかを探る「復刻プロジェクト」の取り組みも紹介している。

最高峰の芸術作品であり、お守りの効能も持つ春画は、日本人の生活に深く浸透しながらも、自己規制という見えない壁によって日本社会から排除されてきた。その「春画と日本人」の不思議な関係を描くことがこの映画の主旨となっている。

Synopsis

Shunga, the explicit and beautifully detailed erotic paintings, was produced from 1600 to 1900 and inspired Picasso. But Shunga was banned in Japan for much of the 20th century. The movie unveils the hidden story of how this unique art form has been treated viciously within Japanese social and cultural modernization history, by many interviews of historians and researchers.

推薦コメント

性と性交が人にとって欠かせないものである以上、それを表現することを悪とすることはいかがなものかと思っています。春画は性の表現として大切なものです。その公開の歴史に真摯に向き合った記録映画を多くの方がご覧くださることを希望しています。
浅野 秀剛(大和文華館館長、国際浮世絵学会理事長)

映像作家大墻敦さんが、近年ようやく公開が許されるようになった日本の春画にまじめに向き合い、江戸時代文化を代表する重要な一面として再評価を加えた、貴重な記録映画です。
小林 忠(学習院大学名誉教授、国際浮世絵学会会長)

今こそつないでおきたい”春画の技術”に、彫り摺りの職人のみならず、材料、道具の制作者と共に挑戦する姿が描かれています。
高橋 由貴子(東京伝統木版画工芸協同組合理事長)

Program Info

Title 文化記録映画「春画と日本人」 Shunga and the Japanese
Duration 87分 87 min.
Location 東京、京都 Tokyo and Kyoto, Japan
Language 日本語版/英語版(英語字幕) Japanese + English subtitle
Production Format HD
Genre 文化・芸術 Art
Director 大墻 敦 Atsushi Ogaki
Production Year 2018年 2018
Copyright ©2018 Atsushi Ogaki
Rights 教育、生涯教育、研究目的の入場無料の上映会で上映可能

自主上映をご希望の方へ

上映会の開催を希望される方々に、BDの貸し出します。
ご要望の方は、所定の欄に記入してください。

教育、研究目的での上映会の実施を検討される方々向けに、試写会を数回、実施する予定です。入場料は無料で、18歳未満は入場禁止です。上映日時、場所などについて、後日、ご連絡さしあげます。

Staff

撮影・編集・制作 大墻 敦 Atsushi Ogaki
アシスタント・プロデューサー 中澤 祐子
カラーグレーディング 堀井 伊玖磨
ナレーション 濱中 博久
音楽 矢部 優子(ピアノ)
池田 陽子(バイオリン)
長谷川 美鈴(しの笛)
長谷川 武尚
サウンドデザイン&ファイナル・ミックス Mick 沢口
出演(五十音順、肩書きは取材当時) 青柳 正規(文化庁長官、東京大学名誉教授)
淺木 正勝(Shunga in Japan LLP代表、丸栄堂代表取締役)
浅野 秀剛(大和文華館館長、国際浮世絵学会理事長)
石上 阿希(国際日本文化研究センター特任助教)
浦上 満(Shunga in Japan LLP、浦上蒼穹堂代表取締役)
河合 正朝(千葉市美術館館長、慶應義塾大学名誉教授)
木下 直之(東京大学大学院文化資源学研究室教授)
小林 忠(学習院大学名誉教授、国際浮世絵学会会長)
定村 来人(河鍋暁斎研究者)
高橋 由貴子(東京伝統木版画工芸協同組合理事長)
竹内 順一(永青文庫館長、東京藝術大学名誉教授)
辻 惟雄(東京大学名誉教授)
内藤 正人(慶應義塾大学文学部教授・アートセンター長)
中山 誠人(摺師)
早川 聞多(国際日本文化研究センター名誉教授)
藤沢 洋(彫師)
細川 護煕(永青文庫理事長)
三宅 秀和(永青文庫学芸課長)
Timothy Clark(大英博物館日本部門学芸員)
協力: 国際浮世絵学会
文化資源学会
関連サイト 近世艶本総合データベース
立命館大学所蔵貴重書アーカイブ 日本文学・芸術篇(林美一コレクション)