連載 第8回 K子ちゃんとわたし|「会社を作ろうね」という話
名古屋で職を得て働き出した私とK子ちゃんは、頻繁に長電話をしていた。
話し出すと2~3時間はあっという間だった。
「会社の変なこと、変なひと、どうしたらいいか、どうすべきか」
いくらでも話すべきことがあった。
次第に私たちは
「将来、会社を作ろうか。私たちでもできそうだよね」
てなことをよく話すようになった。
まさか、そんなことがお互い現実になるとは全く思っていなかったが。
お互いに仕事上の様々な局面で
「こうしたらいいのに」「こういう風にできるのに」「こういう風に考えるべきだよね」
ということをいっぱい感じていて、生意気にも自分たちには
それが実現できるだろうと思っていたのだ。
そうこうしている間に、私は最初の子を妊娠し、夫の転勤に伴い東京に戻った。
K子ちゃんは2つ目の職場でさらに勇ましく活躍していた。
商社で工作機械を担当し、政情のよくない東欧にも一人で出張し、
入札に参加したりしていた。
私自身は仕事の一線から退いていたので、ただただ「すごいなあ」と思いながら、
定期的にかかってくるK子ちゃんからの長電話を楽しみにしていた。
彼女は東欧でも南米でも一人で勇ましく出かけていたっけ。
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