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連載 第11回 K子ちゃんとわたし|K子ちゃんの本質

彼女のモットーは「美しい仕事」である。

美しい仕事なんて聞くと、かっこつけちゃってと、思うかもしれない。しかし、「美しい仕事」はおそらく「無理がなく」「自然であること」に通ずるのだと思う。「自然体であること」これは、彼女の生き方そのものでもある。

良くも悪くも彼女は「超自然体」だ。
眠くなれば、人の家のソファでもすぐに眠れるように。
忘れられないエピソードが他にもある。
大学に入学したばかりの頃、元住吉に下宿していた彼女の家に泊まりに行ったことがある。

「実家から栗が送られてきたから、栗ご飯を炊くので来て」
と言われ、いそいそと出かけていった。
今でも鮮やかに思い出せるほどに「大きくて立派な栗」ご飯だった。今まで食べた栗ご飯の中で一番美味しい栗ご飯だったかもしれない。本当に栗ご飯だけ、だったけど、十分にうれしかった。その晩、泊まることになり、ソファベッドで二人で眠ることになった。当然ながら狭い。
私は寝相がいい。夜と朝の寝姿に大きな変化がないことが多い。なので、固まったまま眠ると翌朝は体中がコチコチに固まる。

しかし、K子ちゃんは真逆であった。
夜中何度も蹴られ殴られ、結局明け方私はソファベッドではなく床を選んでわずかばかりの平穏な眠りを得ることができた。翌朝、彼女は何事もなかったかのように爽やかに目覚めた。あっぱれ・・・。これぞ、超健康優良児の源、なのだろう。

彼女は不自然なことが嫌いであり、人工的なものが嫌いであり、
道理に反することも嫌いである。

当然ながら私利私欲に走ることもなく、かといって、新興宗教家のように人を惑わし、従わせることもない。淡々と「いいと思うこと」を実行する人なのであり、実行できる人なのだ。

商社時代、彼女は本当によく勉強していた。社長になってからも相当勉強したのだと思うが、その下地はOL時代からあった。名古屋時代に上京して訪ねた彼女の部屋には、書籍以外のモノがほとんどなかった。床から積み上げられた様々な分野の書籍・・・。中には簿記、会計、経理の本もあったように記憶しているから、この頃から勉強していたのだ。スペイン語も勉強を続けていたし、英語もやり直していたと思う。

「あのさ、家具とか入れてもっとちゃんと整理するとか・・・」
と言いながらも、私は彼女の膨大な読書量と勉強量に圧倒され、
見てはいけないものを見てしまったような不思議な感覚を覚えた。

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